たこ(胼胝 べんち)・うおのめ(鶏眼 けいがん)
足の皮膚の一部分に慢性的な圧迫などの刺激が加わり発症します。たこは皮膚の表面の角質が部分的に厚くなるもので痛みはありませんが、痛みや赤みを伴う場合は、細菌感染を起こしている可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。うおのめは厚くなった部分にさらに刺激を受けて硬く、芯を持つようになってきます。足の変形などで靴が合わなくなり、できやすくなります。歩く度に刺激され痛みが生じます。靴を合うものに変えることも必要です。治療はメスなどで削る角質除去法があります。
また、足の裏によく手足のいぼ(ゆうぜい)ができます。うおのめと似ていますが、これはウイルス性のものなので、知らずに削ってしまうとかえって患部を広げてしまうことがあり、注意が必要です。鑑別をきちんとつけるためにも、皮膚科の受診をおすすめします。
爪の変形(巻き爪、陥入爪、爪の肥厚)
巻き爪は、爪が横方向に曲がり爪の下の皮膚をつかむように巻いている状態をいいます。陥入爪は爪の両端から爪が皮膚に食い込むことで炎症や腫れ、疼痛が生じます。傷が化膿してしまうこともあります。巻き爪と陥入爪が合併して起こることも少なくありません。
治療は、炎症や腫れがある場合にはまず抗生剤の外用や内服治療、液体窒素療法などを行います。また爪白癬により爪が変形している場合があり、その場合はまず爪白癬の治療を開始します。
テーピング、コットンパッキング、爪の角を切らない爪切り指導でも改善が乏しい場合には、爪の状態に応じて、ワイヤー矯正治療(自費診療)を行います。
早期治療を望まれる場合や、爪矯正などの保存的治療が無効な場合には手術を行います。
予防には正しく爪を切ることが有効です。食い込んでいる爪を斜めにカットすると、爪が伸びるときに再び食い込むため、爪の角を残してカットすることをおすすめします。また、靴の選択や足の衛生管理などフットケアも大切です。
良性腫瘍(ほくろ、脂漏性角化症、脂肪腫、粉瘤、稗粒腫、汗管腫、スキンタッグ)、ケロイドなど
- ほくろ(母斑細胞母斑)は多くのものが生下時にはなく、3~4歳ごろからできはじめて、次第に大きくなります。手のひらや足のうらにある6mm以上のほくろや、大きなものでは悪性化のリスクもあるので、早めに皮膚科を受診しましょう。
治療は保険診療による切除が基本ですが、自費診療によるレーザー治療も可能です。
- 脂漏性角化症は老人性ゆうぜいともいわれ、20歳代からみられるようになり、次第に増えていきます。茶色のシミからはじまり盛り上がってくることも多い特徴があります。
治療は保険診療による液体窒素療法、切除術があります。自費診療によるレーザー治療も可能です。
- 脂肪腫は皮膚の下の脂肪組織にあることが多く、皮膚表面からは柔らかい盛り上がりとして自覚されます。悪性化はほとんどありませんが、徐々に大きくなる場合には切除の検討が必要です。
- 粉瘤(表皮嚢腫)は大小さまざまな皮膚の隆起としてみられます。表面に黒点があり、皮膚の内部に袋状の増殖をして、中に腐臭を伴う、白色のおかゆ状の内容物をためています。ここに感染がおこったり、内容物を出そうと無理に圧迫したりすると、痛みや腫れ、膿がでるなどの症状がおこります。慢性化することがありますので、早めに皮膚科を受診してください。
炎症を繰り返すものや、大きくなってくるもの、痛みを繰り返すものは、炎症が治まって3~4か月してから切除を検討します。
- 稗粒腫は1~2mmほどの小さな白い粒が目の周りにできたものです。頬や陰部にできることもあります。治療は、消毒したのち、注射針(保険診療)やレーザー(自費診療)などで穴をあけ、白色物を除く治療を行います。
- 汗管腫は汗の分泌量が増える思春期におおくみられ、目の周りの1~3mmほどの小さな盛り上がりとしてみられます。他にこめかみや頬、わきの下や胸部などにみられることもあります。
- スキンタッグは、頸部やわきの下、足の付け根などによくみられる、多発傾向のあるぶら下がるような小さな腫瘍です。液体窒素療法や麻酔なしでの切除(保険診療)、レーザー治療(自費診療)で治療を行います。
- ケロイドは、主に外傷やピアス部分、手術の創部等に1か月ほどでみられる明るい紅色~褐色の境界のはっきりとした扁平な盛り上がりで、頸部や肩、胸部付近に多く見られます。治療はステロイド外用や、ステロイド局注、ステロイド密閉貼付、トラニトラスト内服が中心です。改善が乏しく外科的な治療(切除)を選択する場合には放射線照射の併用や厳密な創部の管理が必要となるため、専門性の高い医療機関での治療をおすすめします。
悪性腫瘍(基底細胞がん、有棘細胞がん、乳房外パジェット病、悪性黒色腫など)
皮膚のできもので、急速に大きくなるものや、ぶつけたことや外傷がないにもかかわらずただれるもの、色の濃いもの、盛り上がってくるもの、かゆみや痛みを伴うものは悪性の可能性もあるため、ためらわずに早期に受診されることをおすすめします。
皮膚のできものは良性腫瘍、悪性腫瘍、あるいはその中間のものなのか、正しい診断を受ける必要がありますので、皮膚科専門医のいる施設を受診しましょう。
近年ではダーモスコピー検査での診断が中心となってきました。しかしながら皮膚生検による診断を要するケースも多々あります。診断の結果により必要に応じて、近隣の市立病院や大学病院など適切な施設へご紹介させていただきます。
治療は、切除術が基本であり、深達度によっては、化学療法や放射線療法が必要となることがあります。
- 基底細胞がんは、皮膚の悪性腫瘍の中で最も多いがんですが、早期に手術により切除して治療をすれば転移することはまれです。紫外線などが誘因となり、ご高齢になるとともにお顔などに発生します。急に大きくなったり、ただれを起こしたりするようなできものが出現した時には、早めに受診してください。
- 有棘細胞がんもまた、ご高齢の方に多く、お顔や手など紫外線に当たる部分に多いがんです。やはり大きくなるのが早いものや、ただれるようなできものであれば、診断を確定する必要があります。転移もしやすいため、早めに受診してください。
- 乳房外パジェット病もまたご高齢の方に多く見られます。外陰部にかゆみを伴う湿疹に似た、明るい紅色の局面として生じます。徐々に周囲に拡大し、肛門や尿道に広がることもあります。また、深くまで進行して乳房外パジェットがんと呼ばれることがあります。進行してがんになる前に治療を開始する必要がありますので、陰部の湿疹ができたときも、はずかしがらずに診察をうけるようにしましょう。
- 悪性黒色腫は、手のひらや足の裏のほくろに似たできものができ、結節となるもの(末端黒子型)、手や足以外の体などに急速に結節でできるもの(結節型)、黒色の色からはじまって徐々に拡大、盛り上がるもの(表在拡大型)、お顔などにしみのような変化からゆっくりと拡大するもの(悪性黒子型)があります。悪性黒色腫はダーモスコピー検査で基底細胞がんや有棘細胞がん、ほくろ(母斑細胞母斑)、血管肉腫、爪下出血などとの鑑別が必要になる一方で診断が難しい点や、転移を誘発するため安易に皮膚生検をすることができない点などから、大学病院などへご紹介させていただく悪性腫瘍の一つです。
皮膚の腫瘍は上記以外にもたくさんの種類があります。大きくなるなどの気になる症状があれば、迷わずに受診されてください。
小児皮ふ科でよく見られる皮膚腫瘍
- 石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)
- 脂腺母斑(しせんぼはん)
- 異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)
- 血管腫(けっかんしゅ)